2007年02月07日

画期的教養バラエティ 


「タモリのジャポニカロゴス」

家にテレビを置いていないのでこの番組の存在自体知りませんでした。

番組HPをみると

“この番組は、大笑いしているうちに、日本語の面白さ、奥深さ、不思議さを発見し、刻一刻と生まれ来る新たなる形の日本語までも習得できてしまう、という画期的教養バラエティなのです。”

と紹介されています。

この番組の中で「新明解国語辞典」について取り上げ、

ジャポニカロゴスが発見した面白辞書「新明解国語辞典」。その中からスタッフが発見した面白ネタを、次々と紹介する。”

と番組HPで喧伝していたそうです。(現在そのページは削除されていて確認することはできません。)

■参考:クロノホリック「ジャポニカロゴスと新解さん」

まぎれもなく「新明解国語辞典」のおもしろさを世に広めたのは夏石鈴子さんと赤瀬川源平さんです。

新解さんの読み方
新解さんの謎

番組内で紹介された用例と、夏石さん赤瀬川さんが著書で取り上げている用例がどのくらい重複しているかを検証しているブログがあります。

■ランガナータンの書斎「ジャポニカロゴスの新明解コーナーについて10」

これを読むとかなりの数の用例が重複していることがわかります。

番組内では夏石さんや赤瀬川さんの著書についてはまったく触れられていないそうです。

夏石さんは番組に対して抗議をしています。
また、赤瀬川さんや夏石さんの本を番組制作の素材に使っているのなら、それをクレジットすることを求めました。

それに対して番組担当者は

「赤瀬川さんの本も、夏石さんの本もスタッフは読んだこともありません。全部自分たちで調べました。何でしたらそのカードをご覧いただいても結構です」

と答えたそうです。

夏石さんと番組担当者とのやりとりは以下にまとめられています。
■メディア見廻り組「タモリのジャポニカロゴスのパクリ」

「画期的教養バラエティー」と高らかに謳っている番組のスタッフ全員が「赤瀬川さんの本も、夏石さんの本も読んだことがない」と言い切っているところに画期的な「教養」のなさが露呈しています。

もしくは教養がありすぎて、テレビは見るけれども本など一切読まないスタッフばかりが集まっているのかもしれません。

すこしリサーチをすれば、「新解さん」関連の書籍がすでに出版されていて話題になったことぐらいすぐに見つかります。

ためしに「新明解国語辞典」というワードでグーグル検索をすると一件目に
「明解国語辞典を読むトップページ 万省堂」にというページがヒットします。

このサイトは“三省堂『新明解国語辞典』を趣味として楽しむサイト”との説明があり、推薦図書のなかに
■赤瀬川原平『新解さんの謎』(文藝春秋、1996)
いわずと知れた新明解ブームの火付け役となった歴史的一冊。
文庫化もされていますので、まだ読んでいない方はぜひご一読ください。

■鈴木マキコ『新解さんの読み方』(リトル・モア、1998)
赤瀬川原平の本にSM嬢として紹介されている新明解のエキスパートが書いたすごい本。
このホームページを公開してから、しばらくして買ったのですが、まず目次を見て圧倒されました。 
「新解さんなぜそんなに厳しいのですかコーナー」、「この語釈を見よコーナー」、「この用例を見よコーナー」、「四版から五版の変化」、「四版にあって五版で消えた言葉コーナー」「第五版で新しく出てきた言葉コーナー」「山田先生のこと」など、私がやろうとしていたことはすべて先にやられていました。
この本を先に読んでいたら、私は恥ずかしくて、こんなホームページは作らなかったかもしれません。
(2003.11角川文庫に収録されました。著者名は「夏石鈴子」に変更されていますが、鈴木マキコと同一人物です。)


との記述があります。

「画期的教養バラエティー」を制作しているスタッフはグーグル検索など教養のないリサーチ方法は用いないのでしょう。

2/8号の週刊新潮がこの一件を記事にしていますが、その内容もひどいものです。

“「捏造」の次は「盗作告発」もあるあるフジテレビ”という見出しで、事の経緯を紹介したあと、放送評論家と名乗る志賀信夫という方が、

「テレビは多くの場合、書籍や雑誌、新聞をネタとしている。番組制作上、大なり小なり活字文化のご厄介になっているのだから、文字文化にもっと敬意を払うべきです。が、双方とも、ことさら事を荒立てるのは大人げない対応ですね」


とコメントしています。

この記事は、

実際、テレビなんてそんなもの。あまり目くじらを立てると、あらゆる番組が許せなくなってしまうかも。

と締められています。

しかし、同じ号で“週刊文春『江原啓光7つの疑問』はネット情報の『パクリ』だって”という見出しで同業他社である週刊文春がネット情報をパクったという疑惑を嬉々として報じています。

事の本質は同じです。

ならば、

実際、雑誌なんてそんなもの。あまり目くじらを立てると、あらゆる雑誌が許せなくなってしまうかも。

と締めるべきだと思いますがそうは書いていません。

話が少し本筋から離れました。

フジテレビは今後「新明解国語辞典」を番組内でとりあげることはないそうです。

しかし、フジテレビHPのショップ内の「ジャポニカロゴス」コーナーには「新明解国語辞典」が平然と売られています。

この一件は、テレビ局の体質が如実に現れていると思います。

テレビとは関わりたくないという思いが一層強くなりました。

「あるある大事典」問題は大騒動になりましが「新明解国語辞典」問題はほとんど話題になっていないのでご紹介いたしました。

明日からは通常営業にもどります。


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この記事へのコメント

1. Posted by umi○   2007年02月08日 16:31
むかーし むかしに、
所さんが出ていた 心理テスト を主体とした番組で
番組の最後5分くらいに 夢判断 みたいなコーナーがあり
そこで 夢辞典 なる分厚い本を所さんが読んでいました。
こんなの(番組で)作ったんだ〜 と子供心にすごいなぁと思っていたのですが、番組の最終回で所さんが
「これは広辞苑なんです」とネタばらししていた。
それはそれで子供心にすごいなぁと思いましたが、昔のTV番組の方が
良心的だった気がします。 
微妙に記憶が曖昧なので、違ってたらごめんなさい。

2. Posted by たかぎ鯛吉郎   2007年02月08日 20:52
umi○さん

昔のTV番組が良心的だったかどうかは僕には判断がつきませんが(番組の質は劣化している気はします。)、umi○さんがおっしゃるように、そこに良心があるかないかというのが問題だと思います。
せっかくなので新解さんで「良心」を引いてみます。

#りょうしん【良心】
自分の本性の中にひそむ欺瞞(ギマン)・打算的行為や、不正直・不誠実・ごまかし・怠惰の念などを退け、自分が正しいと信じる所に従って行動しようとする気持。
「ーに恥じる/ーにまつ所が大きい/ーを疑う/ーが麻痺マヒする/学的ー」
【良心的】
ーな ーに 良心の命じる所に従って行動する様子。
「ーな店」(新明解国語辞典)

新解さんを読んで襟を正しました、いま。
ところで、 umi○ さんて「ウミマル」とお呼びして良いのでしょうか?
ウミオ?ウミオー?

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